Mit Leib und Seele

ドイツ フランケン地方でパン職人として働いてます。

ビオ(Bio)について思うこと • 3

これで最後のビオのブログである。

 

ビオを選ぶ人はいくつかの理由があると思う。健康に良い食材を食べたい。環境保護をしたい。畜産動物の飼育環境を改善したい。など、人それぞれであると思う。日本で高価格なビオが普及するには、いくつかの問題があり、高価格、ばらつきのある基準、少ない供給または限定的な地域での販売、自然災害の多さ、生産者の確保など、個人の農家ではどうしようもできないことが多々ある。

 

ここで、ドイツと日本の農業環境の違いが大きな壁となってくる。日本は山々に囲まれ、約70%が山や森に覆われている。耕地面積は12,19%しかなく世界で125位に位置する程の低さである。ドイツは34,26%で、35位に位置する。ちなみに1位はバングラデッシュで65,97%である。(2017年調べ)

運搬環境も違い、高速道路は無料のドイツでは大型トラックでドイツ国内だけではなく、周辺国まで運搬していく。

 

ドイツのビオ農家の割合は約10%(2017年調べ)である。しかし、狂牛病が発生した2001年以降、ドイツのビオ製品購買率は年々増加しており、ドイツのビオ農家だけでは賄い切れないのが現状である。そこでどこから調達するのかというと、海外からである。ドイツはヨーロッパのほぼ真ん中にある。そしてヨーロッパにはEU有機の基準があり、その基準をクリアすれば、ヨーロッパ全域で売れるのである。ただここで1つ問題がある。産地と加工地域のズレである。

 

前働いていたパン屋の社長に、「ビオのパン屋で働きたい」と言った時、彼はビオについてすごく否定的であった。「ビオの表記をしているけれど、材料は中国から来ている」と、その時はあまり信じてはいなかったが、今のビオのパン屋で、南瓜の種を間違えて注文して一時期クオリティが下がったことがあった。普通は縦1,5cm、幅1cmの真緑の南瓜の種だったのが、縦1cm、幅0,5cmの黄緑の小さな南瓜の種が来たことがあった。これはどちらもビオ商品であるのだが、1つはドイツから、1つはスペインからだった。だがこのスペインさんの南瓜の種は、中国から送られてスペインで加工されてスペイン産となり、ビオの商品として売り出された。上司はこの現状にすごく良くない状態であると言うが、基準がクリアされていれば販売されてしまう。

 

ドイツで売られているビオ製品は本当にビオであるのか?疑問が出てくるのである。プライベートビオブランドは、加盟農家が基準を守り生産しており、また生産地も明確化されており、安心して買うことができるが、他のビオ製品はどうだろうか?信用できるかは疑問である。

 

 

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