適材適所( der rechte Mann am rechten Ort)
今日はちょっとだけ仕事の愚痴を書きたい。
ここ数ヶ月職場では『適材適所』と言う言葉を聞いたり、言ったりする。
ドイツには職業訓練を経て職人へと訓練していくシステムがある。期間は職業によって異なるがパン職人は三年間。大学入学資格試験(Abitur)に受かった者や大学卒業者などは、2年生に編入でき期間を短くできることができる。
去年新しい職業訓練者が4人入っきて、『適材適所』をよく使われる子が1人いる。彼女はAbiturに合格し、大学を経てパンの職業訓練を 2年生編して始めた。
彼女に対する職場の評価は、パン職人ではなく事務仕事をするべきであると言われている。
彼女は不器用であるとともにマイペースである。人が10分で終わらせる仕事を1時間かけて終わらせる。これが仕事を始めて1ヶ月とかならまだ考慮の余地があるが、彼女は仕事を始めて7ヶ月も経っている。物によっては急いで終わらせないといけないものもあり、それらは彼女に任せることができず簡単なものをしてもらうことになる。
一番の問題は、同じ質問を何度もすることである。色々な人にメモを取れと言われているはずだが、ほぼメモを取らず人に毎回同じ質問をするので、その度に彼女の評価が下がっていく。
なぜか私ともう1人の同僚が休みのたびに揉め事が起こるらしく、休み明けに同僚たちの愚痴を聞いたり、彼女が部門替えをしていたりと、ここ数ヶ月はゴタゴタとしていた。
彼女が言うには、私たちの部門の人は全然仕事の説明をしてくれなかったというが、私たちはその都度説明をしているし、私の拙い説明でも他の人はありがたいことに理解してくれいる。
私が休みの日に起こった揉め事は、生地を引っ張り、長方形にして鉄板に置くだけの作業。揉めようがないと思うのだが、彼女は不器用で綺麗にできなかったらしい。注意した同僚も少し口調が厳しいから、その日いろいろ言われていたんだろうストレスがそこで爆発してしまったのか、泣いてしまったらしい。それで部門の変更が決定してしまった。
ただ、その作業については私もアドバイスをし、他の同僚も完璧なアドバイスをしているのを私も聞いていたので、また忘れたんだろうなって思っている。
彼女はこの7ヶ月で 2回部門を代わり、今はそこまでスピードを必要としないところに収まっている。そこの部門にはお喋り好きのおじいちゃんが1から100まで説明してくれるから、彼女も満足しているようである。その部門の作業に問題がないかと言われると、うーんとなるが彼女が職業訓練を続けたいのならそこしかないのでこのままであると思う。
ただ、一つ心配なのは彼女の実技の試験である。
卒業試験の実技では約5、6種類のパンとお菓子を7時間で生地から作り、焼いて飾り付けをし、掃除までする。これらは全て1人で行い、作業手順、焼き加減など考え、判断しなければならない。職業訓練者は 2、3年で理論を学び、生地の作り方、生地の状態、焼き加減を覚えて卒業試験に挑む。
上司や同僚は、彼女に仕事のスピードをあげることや仕事をすることに対しての意識などについての話をしたが、意識改革にはいたらなかったらしい。私はとっくに彼女を作業人数には数えていないから好きにさせている。
いらないストレスは感じない方がいい。